サービスの対象をみると、宅配業のサービス対象が拡大を続け、製造業が「ブルーオーシャン」になった。
広東省広州市の航空会社の航空拠点では、スタッフが毎月、特殊な便を迎え入れる。機内には厳重に梱包された円柱形の何か大きなものが積まれている。
これはなんと航空機のエンジンだ。エンジンは非常に複雑かつ精密な航空機の構成要素で、決まった時期に特定のメンテナンスセンターに送って修理点検を受ける必要がある。これまで宅配業はこの業務に手を広げたいと考えていたものの、能力に限界があった。しかし最近になって宅配業が相次いで航空会社を設立し、貨物輸送機も専用のクルーもそろえて、この市場でシェアを獲得する力を付けた。
劉氏は、「ここ数年、オーダーメイド化した生産、フレキシブル生産の割合が目に見えて上昇し、一部メーカーの消費者向けオンライン売上高の割合が上昇を続けている。宅配便の製造業へのサービス方式が製品の倉庫貯蔵・配送一体化サービスからサプライチェーンでの物流サービスへと広がりつつある」と述べた。
産業移転が「物」流に影響
宅配業は規模が非常に急速に拡大しただけでなく、地域構造も変化した。
20年1-11月、中部地域の宅配便業務量が全国に占める割合は0.4ポイント上昇し、営業収益が同0.6ポイント上昇した。湖南、河南、江西、山西、安徽の5省は業務量成長率が40%を超え、全国平均を10ポイント以上上回った。
20年には全国の省都都市31ヶ所の宅配便業務量が合計300億件を超えて、全国に占める割合は15年の49.2%から10ポイント以上低下して36.7%になった。三線・四線都市の、さらには五線・六線都市の宅配便業務量成長率は一線・二線都市を大きく上回った。
宅配業の地域構造の変化は産業移転の変遷をある程度反映するものだ。劉氏は、「宅配便のデータを見ると、東部地域の産業が中部に移転し、中心都市の産業が周辺都市に移転し、こうした流れが持続的に強まっている。中心都市は主に研究・開発・設計と展示・販売を中核業務とし、中部・西部地域は主要生産拠点になる」と述べた。
産業移転は宅配業の地域構造の変遷をもたらし、宅配業の変化は産業チェーンの展開にも影響を与えている。