ここ十数年、消防隊員のメンバーは何度も入れ替わってきたものの、張さんら2人への援助が途切れることはなく、「愛のバトン」は2013年に張琳さんが大学を卒業し、2016年に張さんが高校を卒業するまでずっと引き継がれた。
唐さんに会いに来た分宜県の消防指戦員(一番右は張佳港さん、画像は江西消防が提供)。
「大きくなったら消防隊員になりたい」
張さんは、「身近な存在だった消防隊員たちが、いつの間にか僕の心に夢の種を撒いてくれていた」と振り返る。
2016年、張さんはある学院に合格したが、進学か、国のために身を奉げるため軍隊に入るかの選択に迫られた時、張さんは軍隊に入ることを決め、最終的に消防隊員になるという夢をかなえた。そして、自分を援助してくれた隊員たちの同僚になった。
同僚と共に消火活動を行う張佳港さん(一番左が張佳港さん、画像は江西消防が提供)。
張さんは「この仕事は思っていたよりハードで、責任も重い」としながらも、「でも、後悔はしていない。国民のために尽くして働く仕事だから」と話す。張さんは優れた働きを見せ、2020年には「三等功」を授与された。
「この仕事を選んだのは、僕が抱いている感謝の気持ちから、社会に恩返しをするため。おばあちゃんが僕の命を救ってくれた。そして、僕を援助してくれた消防隊員が夢を与えてくれた」と張さん。
他の消防隊員と訓練を受ける張佳港さん(一番左が張佳港さん)。
一生懸命仕事に励むだけでなく、自分を援助してくれた消防隊員のように、張さんは今、母親が病気で亡くなり経済的に苦しい学生2人を援助している。
「おばあちゃんは若い頃はとてもお洒落だったというが、ずっと自分のことを後回しにしてきた。おばあちゃんはウェディングドレスを着たことが1度もない」と張さんはそのことをずっと気にかけていたという。
おばあちゃんと一緒に湖南省長沙市を旅行する張佳港さん。
昨年5月、張さんは有給休暇を使って、「おじいちゃんとおばあちゃんのウェディングフォトを撮影する」というサプライズを計画した。ただ、おじいちゃんは体調が優れなかったため、張さんが制服を着て、おばあちゃんと一緒に撮影に臨んだ。おばあちゃんは自分の写真を見て、照れながらも、とても喜んでいたという。
張さんは、「小学校までしか行っていないおばあちゃんだけど、善良さや他の人のことを考えて行動すること、感謝の気持ちを忘れないことなどたくさんのことを学んだ。小柄で、背も低いけど、たくさんのものを背負っており、実はとても強い」と話す。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年2月20日