郭麒麟(グオ・チーリン)と宋軼(ソン・イー)が主演を務めるネットドラマ「贅婿(My Heroic Husband)」が大ヒットとなり、話題を集めている。微博(ウェイボー)では、同ドラマをネタにした「贅婿における経済学的思考」、「贅婿金儲けバイブル」、「贅婿におけるネタの数々とは?」、「贅婿における弾幕」といった「贅婿」関連の話題が、次々と人気検索ワードとなっている。そのうち、「贅婿における弾幕」だけでも、クリック回数がすでに4億2000万回を超えている。
オンライン作家・憤怒的香蕉の同名小説を原作とする「贅婿」は、友人に裏切られて陥れられた張若昀(チャン・ルオユン)演じるやり手ビジネスマン・江皓辰が、ひょんなことから古代にタイムスリップし、蘇家の入り婿・寧毅になるという物語。郭麒麟演じる寧毅は、宋軼演じる妻の蘇檀児をサポートして、その商いを成功させるだけでなく、その過程で、朝廷の紛争に巻き込まれてしまうものの、最終的に国の大業を成し遂げて見せる。
コミュニティサイト・豆瓣の「贅婿」のレビューは7.1ポイント、動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQIYI)」のコンテンツ人気度は10000を突破し、2018年の「延禧攻略(瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~)」に続く、10000越えの人気ドラマとなった。
「贅婿」が大ヒットしていることは、ここ数年、「贅婿(入り婿)」を題材にした作品が大人気になっていることと密接に関係している。電子書籍大手・掌閲科技(アイリーダー・テクノロジー)が発表した「2020年度デジタル読書報告」によると、同年、「入り婿」をテーマにした作品は、同年、最も人気となったネット文学作品のテーマの一つとなった。その他のジャンルの作品と同じく、「入り婿」がテーマの作品にもお決まりのパターンがあるようだ。経済的に恵まれていたり、社会的地位があったりする女性の家庭に入り婿する男性は、全く発言権がなく、上から目線で皮肉を言われるという生活を耐え忍びながらも、諦めずに奮闘して、最終的に権力を手にする逆転劇を展開するというのがそのパターンだ。
現実の生活において、逆境を乗り越え再起を果たすのは決して容易なことではないが、「入り婿」をテーマにした作品では、いとも簡単に人生の絶頂期に登り詰める逆転劇が展開される。それは、見ている人にとっては、スカッとストレスを発散させる手段の一つとなっている。有名なオンライン作家・董江波は、「スカッとする作品の一つとして、『入り婿』をテーマにした作品は、人々が親しみやすい人物設置になっている。初めの肩身の狭い状態は、ストレスを抱えて生活している現代社会の人に似ていて、この種のジャンルが好きな人は往往にして感情移入しやすい」と分析する。
古代にタイムスリップする前はやり手のビジネスマンだった郭麒麟演じる寧毅は、現代社会のビジネスルールや企業スタイルを熟知しており、古代のビジネス界で「マルチ商法」や「共同購入による割引購入」といったECのビジネススタイルを駆使し、蘇家が新たに開いた布地屋は開店と同時に大人気となる。それ以外にも、差別化経営や駐車場の設置、ハングリーマーケティングなどのビジネス手段をうまく活用し、ライバルである烏家を破産の危機に陥れる。
寧毅は、ビジネスの面でその突出した才能を発揮するだけでなく、碁に通じ、小説を書き、キックボクシングを得意とするほか、デザインや機械に詳しく、ピータンの作り方まで知っているなど、多彩な才能を見せる。さらに、多芸多才であるばかりか、運にも非常に恵まれており、最高位の官吏である丞相や皇室の「入り婿」である皇女の夫などとも知り合い、ドラマ後半におけるさらなる飛躍の布石が打たれていく。こうした人物設定は、「非の打ち所無し!」とされ、視聴者からは「スカッとする」というコメントが寄せられている。
また、ドラマ版「贅婿」は、女性視聴者も満足させるため、原作を大きくアレンジしている。例えば寧毅は、家事や妻のご機嫌取り、妻の両親の世話、子供の世話などを学ばなければならない。また、夫婦の相思相愛「甘々」要素が盛り込まれ、仲睦まじいシーンがしばしば登場するため、「甘々な気分」を満喫しながら、思いっきり笑いたいという視聴者のニーズに応える形となっている。 (編集KN)
「人民網日本語版」2021年2月25日