【シカゴ高橋秀明】米大リーグのワールドシリーズ(7回戦制)は23日、当地で第2戦を行い、ホワイトソックス(ア・リーグ)が7-6でアストロズ(ナ・リーグ)にサヨナラ勝ちし、2連勝を飾った。
ホワイトソックスの井口は2番・二塁で先発し、三回の第2打席で同シリーズ初安打となる左前打を放つなど3打数1安打だった。同シリーズでの安打は新庄(当時ジャイアンツ)、松井秀(ヤンキース)、田口(カージナルス)に続き、日本人選手として4人目。
ホワイトソックスは七回に4番コナーコの満塁本塁打で逆転したが、九回に抑えのジェンクスが同点にされた。しかし、その裏一死から1番・ポドセドニクがサヨナラのソロ本塁打を放った。
第3戦は25日、アストロズの本拠地ヒューストンで行われる。
▽ホワイトソックス・井口 プレーヤーとして結果が欲しかった。早めに球場にきてビデオを見たのがよかった。これでまた、勢いがついた。
◇井口、待望の初安打
クレメンスの弟分であるアストロズの先発ペティットには、期するものがあった。ヤンキース時代から兄のように慕い、アストロズへ移籍する時も行動を共にしたクレメンスが前夜、左太ももの故障のため、2回で緊急降板。その後を受けての登板で、負けるわけにはいかなかった。
雨で7分遅れて試合開始。打者を鋭くにらんで投げてくるペティットに対し、2番・井口は一回の第1打席で、内角低めのカーブをあっけなく空振り三振。しかし、三回の第2打席、初戦は先発で唯一人の無安打に終わって「ぼく以外はみんな乗ってますね」と苦笑いするしかなかった男が、待望のワールドシリーズ初安打となる左翼線へのヒットを放った。内野ゴロ2本で三進後、5番・エベレットが三ゴロに倒れ、得点にはならなかったが、ペティットに重圧をかけた。
井口はア・リーグ優勝決定戦で3死球を受けるなど内角攻めに遭い、調子を崩した。抜け出すためには内角を打ち返し、「内角に弱点がある」という見方を覆す必要があった。4試合ぶりのヒットは、まさに腰を回転させて内角球をさばいた一打だった。四回にはバグウェルの痛烈な一、二塁間へのゴロをさばき、一塁で刺した。本拠地のファンは一斉に「グー」と井口の愛称を叫んだ。
つなぐ野球を掲げるギーエン野球の要だった井口が復調すれば、ホワイトソックスはさらに手ごわくなる。ペティットは嫌な相手に、浮上のきっかけを与えてしまったか。【高橋秀明】
○…ホワイトソックスが一発攻勢を見せ、連勝を飾った。2点を追う七回2死満塁で4番・コナーコが逆転の満塁弾。九回表に一度は追いつかれたが、その裏、1死からポドセドニクがサヨナラの右越えソロを放つと、地元シカゴのファンは総立ちになり、お祭り騒ぎとなった。
七回の満塁弾は、直前の3番ダイが死球で出塁。手ではなく、バットに当たったようにも映ったが、アストロズ側の抗議は球審に却下された。プレーオフの微妙な判定は、ことごとくホワイトソックスに有利に働いている。