【ニューヨーク高橋秀明】米大リーグ、ヤンキースと4年契約で合意した松井秀喜外野手(31)は16日、本拠地のヤンキー・スタジアムで記者会見を開き、正式に再契約を発表した。日本人選手最高額となる4年総額5200万ドル(約61億8800万円)の年俸に加え、トレード拒否権も契約に盛り込まれ、ヤンキース側の期待の大きさを示す破格の待遇となった。
キャッシュマン・ゼネラルマネジャー(GM)とともに記者会見に臨んだ松井秀は「最高に幸せ。またピンストライプを着て、この球場でプレーできる幸せを今、すごく感じている」と話した。
残留を決めた理由について「ヤンキースは常に目標を高いところに置いているチーム。パズルのピースの一つになってほしいという強い意思が伝わってきた。それがうれしかった」。
「ヤンキースが好きだし、ニューヨークが好き」と残留を基本線にしてきた松井だが、交渉の段階で「(移籍も)仕方がないと思ったこともあった」という。在籍した3年間でコンスタントに成績を残し、中軸打者として8年連続地区優勝を支えた自負もある。
キャッシュマンGMは会見の席で、本人の了解なしにトレードできない「ノー・トレード条項」を認めたことを明らかにした。今後4年間、松井秀を放出することはないという意思表示。「一番必要とされるところでやりたい」という松井秀にとって、誠意を感じさせる付帯条件だった。
マリナーズのイチローを上回る日本人最高額になったことについては「名誉かもしれませんが、責任もある。4年間しっかりプレーしたい」と語っただけ。
何よりやり残したことがあるからだ。「目標は一つ(ワールドチャンピオン)しかない」。今年の地区シリーズ最終戦でエンゼルスに敗れた日の夜、松井はニューヨークへ戻る途中で「申し訳なかった」とトーリ監督に詫びた。プレーオフで打率2割、1本塁打、1打点に終わり、自分を責めていたという。
「契約で大きな責任を感じる。それが自分の力になる。100%の力を出し切るという自信は持っている」。その続投も、残留を決める大きな要因になったジョー・トーリ監督とともに、再びピンストライプのユニホームを着る決断をした松井秀。気持ちを新たにWシリーズ制覇に挑む。