米FCC(連邦通信委員会)議長であるMichael Powell氏は,2005年3月に退任すると発表した。Powell氏の父は国務長官をまもなく退任するColin Powell氏であり,Michael Powell氏のFCC議長退任も予想されていた。今月開催された「2005 International CES」で行った舞台上の対談では,FCCの政策をめぐり様々な業界が自ら有利になるように動き回り駆け引きする現状を表して,「Welcome to FCC hell(地獄のようなFCCにようこそ)」とPowell氏がコメントした。こうした動きに対して相当にうんざりした様子で,Powell氏はまもなく退職するとの印象を残した。
米Washington Postによると,米FCCのCommissionerであるKevin Martin氏を後継議長と予測する。米New York Timesは,テキサス州のPublic Utility Commissionの元議長だったBecky Klein氏も有力とする。New York TimesはMartin氏とKlein氏のほか,米National Telecommunications and Information Administration(NTIA)のAssistant Secretary of Commerce for Communications and Information and AdministratorであるMichael Gallagher氏や,米Federal Energy Regulatory Commission議長であるPat Wood III,米コンサルティング会社Freedom Technologies, Inc.のPresidentであり,NTIAのトップを勤めた経験のあるJanice Obuchowski氏の名前も挙げる。
Powell氏退任の発表資料では,デジタル家電の市場立ち上げに向けて推進してきた政策を実績として強調した。「我々が市場にばら撒いた種はしっかり根を伸ばして,花を咲かせ始めている。携帯電話機やデジタル・テレビ,HDD録画機,デジタル音楽プレーヤーの利用は爆発的に増えている」(同氏)。
Powell氏は,米国における地上放送の完全デジタル化を加速することを目標に2007年7月までにほとんどのテレビ受信機にATSC(Advanced Television Systems Committee)方式のチューナー内蔵を義務付けた「Powell Plan」の実施で,歴史にその名を残しそうだ。電波政策については,周波数規制の思い切った緩和に向けて2002年から始めた「Spectrum Policy Task Force」が大きな実績を残している。2003年には5GHz帯を免許不要で無線LANなどに利用できるようになった。さらにGPSや携帯電話事業者の強い反対を押し切って,2003年2月に規制を見直してUWB(ultra wideband)実用化に道筋をつけた。
今後のPowell氏の行き先は明らかになっていない。発表によると,次の仕事に移行する前に家族との自由な時間を取ることに楽しみにしているようだ。 |