◇良縁に恵まれない独身男女に
最近では、何をするにもインターネット。わからない言葉が出てきたら、辞書ではなくネットで調べ、欲しいものがあればオンラインショッピングで買い物をし、遠く離れた友人には、手紙ではなくメールを送る。果ては、自分の将来の伴侶まで出会い系サイトで探す人がいるそうな。今回ご紹介する「理想の恋人.com」は、その出会い系サイトで、図らずも恋人募集をするハメに陥った30代バツイチ女の複雑な心境を綴ったロマンチック・コメディです。
幼稚園の先生をしている30代後半のサラ・ノーランは、未だに8カ月前の離婚の痛手から立ち直れずにいた。そんな彼女が、姉の「策略」によってインターネットの恋人募集サイトに登録されてしまう。物は試しと「志願者」に会ってみるが、どれもロクでもない男たちばかり。諦めかけたそのとき、本命らしき男が現われる。彼は、最近離婚したばかりの木製レース用ボート製造業、ジェイク・アンダーソン。恋愛に関してはかなりぶきっちょなくせに愛に飢えているから、サラに向かって猛然と攻めてくる。サラにしてみれば、彼のことは嫌いじゃないけど、離婚がトラウマとなり大きな一歩が踏み出せない……。
人間、1度恋に破れると、次なる恋に踏み出すには相当な勇気がいる。なぜなら、また捨てられ傷つくことが怖いから。でも、何もせずに待っているだけでは、本物の恋に出会うことすらできない。
では、その「ホンモノ」を見つけるにはどうすればよいのか。それにはやっぱり、勇気を振り絞り新たな一歩を踏み出すしかないわけで、じゃあそうしましょうと自分の周りを見回してみても、そうした出会いの場があるわけでもない。
そんなときにおすすめなのが、インターネットの出会い系サイト。最近では犯罪に利用されるというやっかいな問題を抱えてはいるが、サラのようにまんざらでもない相手に出会える場合だってあるんだから、利用しないテはない。ただそれには、ある程度、人を見る目を持っていなければならないのだけれど。
と、出会い系サイトのPRみたいなことを書いてしまったが、結局、サラから学んだのは、自分が真剣に「それ」を求めているなら、傷つくことを恐れ、その場に踏みとどまっていてはダメだということ。自分の直感を信じ、それに正直に行動すれば(ただしこれは、相手が独身の場合に限られます)、叶うかどうかは別として、必ずまっとうな答えが返ってくるってこと。
いうなればこれは、結婚したいけど(なぜか)できない独身(貴)族、愛に臆病な人、過去の経験から恋愛なんてもうこりごり、と強がっている人に、もう1度頑張ってみては、と発破をかける映画。効果のほどはわかりませんが、ひとまず勇気がでることは間違いないので、該当する方はぜひどうぞ。
蛇足ながら、恋にさまようバツイチ女を好演したダイアン・レインは、今年40歳。真剣にお手入れをしているとは思えない目の回りの皺に、中年女性は随分励まされることでしょう。
【作品データ】
「理想の恋人.com」MUST LOVE DOGS
10月1日より東劇他全国にて公開
監督・脚本:ゲイリー・デイビッド・コールドバーグ「晩秋」
出演:ダイアン・レイン、ジョン・キューザック、ダーモット・マローニー
2005年/アメリカ/98分/ワーナー・ブラザース配給
写真クレジット(C)2005 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
「理想の恋人.com」日本語特設サイト
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