王子製紙が北越製紙に仕掛けていた敵対的TOB(株式の公開買い付け)が4日終了し、王子の北越株の取得比率は当初目標の50%超を大幅に下回り、1割以下にとどまる見通しであることが関係者の話でわかった。王子が8月29日にTOB成立を断念すると表明したため、機関投資家、個人投資家とも「TOBに応じる意味がなくなった」と判断したようだ。8月2日に始まった今回の敵対的TOBは、約1カ月にわたる攻防を経て、不成立が確定した。
王子は4日までに応募があった北越株の最終的な集計を進めており、5日に最終結果を公表する。王子が早期にTOB成立を断念したため、応募者は当初予想を大幅に下回った。
北越の第三者割当増資に応じて北越株の24.44%を取得した三菱商事に加え、日本製紙グループ本社もTOB阻止のため8.85%を保有。北越の創業地で主力工場がある新潟県の地銀などもTOBに応じない姿勢を変えなかった。王子は北越の生産設備を活用する経営統合を断念し、自社で生産設備を建設する方針に転換した。【川口雅浩】
毎日新聞 2006年9月5日