22歳以下(U22)で争われる男子サッカーの北京五輪アジア2次予選B組第3戦が28日行われ、東京・国立競技場で2勝同士のシリアと対戦した日本は3-0で勝ち、3連勝で勝ち点を9に伸ばした。4月18日にアウエーで行われる第4戦のシリア戦に勝てば、もう1試合のマレーシア-香港戦の結果にかかわらずB組2位以内が確定し、8月22日に始まる最終予選進出が決まる。
2次予選は24チームが4チームずつ6組に分かれ、ホームアンドアウエーでリーグ戦を戦い、各組上位2チームが最終予選に進む。11月21日まで行われる最終予選は12チームを3組に分け、ホームアンドアウエーによるリーグ戦を行い、各組1位が五輪出場権を得る。
○日本3-0シリア●
日本が予選3戦連続ゴールとなる平山の2得点などで快勝した。前半16分、左サイドから中央に切り込んだ家長がミドルシュートをゴール右隅に決めて先制。24分には右からの水野のFKを平山が押し込み、平山は後半26分に2点目を挙げた。シリアは主に右サイドから攻め上がり、後半は決定機もあったが、ゴールを割れなかった。
▽日本・反町監督 点差ほどの差はなかった。精度の高さとかを、これから修正していきたい。もっとできると思う。先取点を取れたのは大きかった。次はシリアでやるのでいい準備をしたい。
▽シリア・タテシュ監督 日本は美しいゲームをした。ただ、(反則をとられた前半7分の)シリアのゴールが認められていれば、試合の流れは変わっていた。
▽ 日本・平山 (体ごと押し込んだ1点目は水野の)キックが独特なので合わせづらかった。2点目はカレンからのパスが良かった。キーパーが見えたので、コースを突いて打てた。
▽家長 (先制点は)試合前からチャンスがあれば狙えと言われていたので、けってみて良かった。前半の早いうちに得点を挙げ、余裕を持って試合を運べた。
◇日本の先制点、水野と家長の連係から
平山、李が2トップ、家長をトップ下に置く新システムが機能し、日本が「天王山」と位置づけていたホームでのシリア戦を制した。
シリアの布陣を研究したうえで、日本は3トップからの布陣変更に踏み切った。「シリアのアンカーボランチは1人。そこをマークしながら、攻撃の起点になれ」。ベンチから家長への指示は明快だった。攻撃に比重を置く余り、最終ライン前のスペースが手薄になるのがシリアの弱点。そこを突いた。
前半16分、家長は意表をつく切り返しでマーカーを振り切ると、利き足とは反対の右足で豪快なミドルシュートを決めた。「チャンスがあれば打てと言われていた。普段なら打たないところですね」。立ち上がりから押され気味だった流れを一変させた家長は、笑みを浮かべた。
その後はエースの平山が2点を加えた。チーム2点目をアシストした水野は「今日は1タッチプレーが増え、今までにはなかった流れるようなプレーができた」と手ごたえを強調した。
家長も水野も4日前のペルー戦でフル代表デビューを果たしたばかり。ともに5分間しか出ていないが、家長が「財産になった」と振り返るように、迷いがあったチームに大きな刺激を与えたことは間違いない。
反町監督は「判断の遅さや精度の低さが目につき、評価するのは難しい」と慎重な姿勢を崩さないが、内容が乏しかった過去2戦に比べれば、殻を破る兆しは見えてきた。【安間徹】
○…左ひざのけがから復帰したGK西川が、安定したプレーで無失点勝利に貢献した。昨年10月の中国との親善試合以来9試合ぶりの出場。開始直後、いきなりシュートを決められたが、ファウルがあり、ノーゴール。「ヒヤッとしたが、副審が良く見ていてくれた」と苦笑いした。
その後は危ない場面はほとんどなく、持ち前の前線への的確なフィードでスタンドを沸かせた。「気心が知れた選手ばかりでプレーしやすかった。アウエーの試合も余裕を持って戦える」と満足そうだった。
○…セットプレーからの失点が目立っていた日本だったが、この日は無失点。センターバックで先発した伊野波は「ホームなので失点はしたくなかった。良かったと思う」と手応えを口にした。正GK西川の復帰も大きく、伊野波は「立っているだけで安心感がある」と振り返った。
毎日新聞 2007年3月28日 21時15分 (最終更新時間 3月28日 23時39分)