住宅金融支援機構東北支店によると、東日本大震災の被災者を対象とする災害復興住宅融資の申込件数が、2014年末まで累計で1万3202件となった。ただ14年は単年で2274件と12年に比べほぼ半減しており、住宅再建のペースは鈍っている。自力再建の動きが一巡する一方で、復興事業の遅れから決断しきれない被災者も少なくないものとみられる。
同融資は被災者の住宅再建を促すため新築の場合、当初5年間の金利を0%とする仕組み。東北6県の申込件数を県別にみると、最も多いのは宮城の9067件で、福島の2743件、岩手の1339件と続く。市町村別では仙台市の3280件、宮城県石巻市の1866件、福島県いわき市の1135件の順だ。
ただ申込件数は減っている。11年3月の導入後の推移をみると、12年の4426件がピーク。3カ月ごとでは11年10~12月の1260件が最も多かった。昨年1年間は各四半期の申し込みが500~600件程度にとどまる。同支店は「防災集団移転の本格化で申し込みは増えるが、今後約3年は昨年と同程度となりそうだ」とみる。
政府は住宅再建をさらに後押しするため、今年度に補正予算を組んで制度拡充を決定。融資限度額を10%引き上げ、受付期間も2年間延長して17年度末までとした。今後は集団移転で住宅再建に踏み切る人が増えると見込まれる。ただ同支店でも原子力発電所事故の被災地である福島の動向は読み切れないという。