【ニューヨーク=杉本貴司】米調査会社オートデータが3日まとめた1月の米新車販売台数は、前年同月比13.7%増の115万1123台だった。ガソリン安の追い風を受けて大型車の販売が大幅に伸びた。大型車に強い米自動車3社がいずれも全体の伸び率を上回り、シェアを高めた。1月としては2006年を超える水準で、米新車販売は金融危機前を上回る勢いが定着してきた。
昨年1月は米東部の広い範囲を歴史的な寒波が襲い、米ゼネラル・モーターズ(GM)など主要メーカーの工場が停止。販売店頭への来客も減った。今年も米北東部でブリザードが発生したが昨年ほどの被害はなく、新車販売には目立った影響は出なかった。今年1月は昨年より営業日が1日多いこともあり、13年8月以来、1年半ぶりの高い伸び率となった。
営業日1日当たりの販売台数を年率換算した数値は1666万台と9年ぶりの高水準。14年通年実績の1652万台を上回っており、寒波の影響などを除外しても好調な販売が続いていることが分かる。
1月も、昨年から好調が続く大型車の販売が伸びた。ピックアップトラックやSUV(多目的スポーツ車)など「小型トラック」の販売は19.3%伸びたのに対し、小型車主体の「乗用車」は7.7%増にとどまった。ガソリン安がこれら大型車の販売増に直結しているとの見方が強い。
GMは18.3%増。同社幹部は「トラックとSUVへの需要が我々のビジネスをけん引している」と指摘した。米フォード・モーターは同社米販売の3割を占める大黒柱のピックアップ「F―150」の新型車を投入した効果で、15.6%伸ばした。
日本勢も順調に販売を伸ばした。トヨタ自動車は15.6%増で2位フォードを追走。日産自動車も15.1%増とした。ホンダはタカタ製エアバッグ問題の影響が懸念されたが「エアバッグが原因で販売がスローダウンしているという傾向は見られない」(岩村哲夫副社長)と見ている。1月は11.5%増と市場全体の伸びに追いつかなかったが、底堅い結果だった。
一方で韓国・現代自動車(傘下の起亜自動車含む)が2.2%増と小幅な伸びにとどまり、シェアは前年同月の8.0%から0.8ポイント落とし7.2%となった。昨年投入した主力の中型セダン「ソナタ」の新モデルの人気が低調だ。独フォルクスワーゲンも横ばいで苦戦が続いている。