総務省が5日発表した住民基本台帳に基づく2014年の人口移動報告からは、都民の間でも都心への移動が進んでいる傾向がうかがえる。東京23区への日本人の転入超過数は13年比4%増の6万3976人だった。区ごとに伸び率をみると、千代田区(27%)や中央区(42%)などが高水準だ。千代田区への転入者は半数超が他区からだ。
東京都全体の日本人の転入超過数は13年より4%多い7万3280人。転入超過は18年連続となっている。0~14歳の子どもと65歳以上の高齢者は転出超過となっており、15~64歳の生産年齢人口を他道府県から吸い寄せている構図だ。
地価が高騰したバブル期を除けば、一般的に景気が改善すると都内で雇用が増え、人口流入が増える傾向がある。2014年は都内への転入者は1%減の40万4736人と、3年ぶりに減ったものの、転出者の減少幅の方が大きく、転入超過数は増加した。
23区への転入者は都外からが30万7463人、都内からが27万9083人。区別に細かい内訳を見ると、千代田区は合計7406人の転入者のうち54%が都内の他区から来ている。
この割合は中央区(50%)や港区(51%)なども高く、23区の平均(40%)を上回る。全国から東京へ、東京のなかでもより都心へという人口の流れがみてとれる。
三菱地所が千代田区に建てたマンション「ザ・パークハウスグラン三番町」は14年9月に引き渡しが完了した。80平方メートル台の部屋で1億2千万円を超える高額物件だが、全148戸が完成前に完売。マンションの先高観も影響して順調に売り切れたという。
20年五輪を控えた開発熱の高まりもある。
不動産調査会社、東京カンテイ(東京・品川)の井出武主任研究員は「職住近接が進み、デベロッパーが都心部に大型物件を作りたがっている。今後も都心部では開発計画が目白押しで人口の増加が続くだろう」とみている。