【ワシントン=川合智之】オバマ米大統領は9日、米ホワイトハウスでドイツのメルケル首相と会い、ウクライナ危機の対応を巡り、11日に開くウクライナとロ独仏の4首脳会談の和平交渉を優先することで一致した。オバマ氏は和平交渉が決裂すれば、ウクライナに武器供与する考えを示唆した。
オバマ氏は会談後の共同記者会見で「ロシアが全ての約束を守っていないのは明白だ」とロシアを厳しく批判した。ウクライナへの武器供与について「殺傷能力のある武器の提供も検討中の選択肢だ」としたうえで「外交交渉が失敗したらあらゆる手段を検討する」と語り、武器の提供に踏み切る可能性を示唆した。
一方、メルケル氏は「外交的な解決を追求し続ける」と述べ、米が検討するウクライナへの武器供与に反対する意向を示した。
両首脳は武器提供で隔たりが残ったが、対ロ制裁の必要性では一致した。オバマ氏は「ロシアの侵略は米独など同盟国の結束を強めるだけだ」と警告。「ロシアが義務を果たすまで制裁を科す必要があることで一致した」と表明した。
過激派「イスラム国」についても協議した。「野蛮な組織の壊滅に向けて米独は結束する」(オバマ氏)と、対テロの戦いで連携を強化することを確認した。ドイツがイラクのクルド人治安部隊に武器供与し、イラク北部アルビルで治安部隊の訓練を計画していることも明らかにした。
メルケル氏は米国家安全保障局(NSA)による自身の携帯電話の盗聴疑惑について「我々は米機関から安全保障に不可欠な重要情報の提供を受けている」と答え、もはや懸念していないとの認識を示した。