【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)は16日公表した官報で、ロシア政府やウクライナ東部の親ロシア派幹部への資産凍結などを発動したと発表した。今回はロシアのバヒン国防第1次官やアントノフ国防次官、ウクライナ親ロ派の司令官を含む19の個人、9団体を対象に加えた。EUは15日に発効した停戦が順守されなければ、金融やエネルギーといった追加の経済制裁も辞さない姿勢を見せている。
16日、ウクライナ東部デバリツェボ付近を警戒するウクライナ軍兵士=ロイター
今回の制裁内容は9日のEU外相理事会で既に承認していたもので、1月下旬に起きた砲撃で多数の市民が犠牲になったことなどを受けた措置。ウクライナ東部情勢を見極めたうえで16日までに発動するか見極める方針を表明していたが、予定通りに実行した。資産凍結など制裁発動の対象は151の個人、37団体となった。今回の制裁ではプーチン大統領の側近などは含まれていない。
EUではドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領がウクライナ和平に取り組み、ウクライナでの全面戦争回避に尽力した。ただEUのトゥスク大統領は12日、ロシアなどが停戦を順守するか「非常に慎重だ」と指摘。仮にロシアがウクライナ東部への支援を再び強化し、同地域の状況が悪化した場合は対ロ経済制裁の強化も視野に入れている。