オウム真理教元信者、高橋克也被告(56)の東京地裁(中里智美裁判長)の裁判員裁判で20日、地下鉄サリン事件で現場の指揮役だったとされる井上嘉浩死刑囚(45)が検察側証人として出廷した。井上死刑囚は、事件直前に都内の教団の拠点で「高橋被告に『サリンをまくから運転手をするように』と指示した」と、検察側の主張に沿った証言をした。
弁護側は反対尋問で、過去の裁判で、井上死刑囚が「小池(旧姓林)泰男死刑囚以外に指示を伝えていない」と証言していたと矛盾を指摘。井上死刑囚は「高橋被告にも伝えている」と反論した。
井上死刑囚は、元教団代表、松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、59)が高橋被告を運転手役に指名したと証言。「(東京・目黒公証役場事務長の)仮谷清志さん拉致事件後、高橋被告が精神的につらい様子なのを知っていたので、上司として言いようのないジレンマがあった」と振り返った。