後半、ボールを追う岡崎=長島一浩撮影
(24日、日本2―2セネガル サッカー・ワールドカップ)
本田圭佑の同点ゴールは、同じ32歳の岡崎慎司が体を張らなければ生まれなかった。
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【特集】2018ワールドカップ
セネガルのゴール前に蹴り込まれた浮き球に、岡崎が飛び込んだ。球には触れず、GKらともつれて転倒した。転々とする球を、乾貴士が中へ折り返す。パスは、岡崎たちが倒れて空いたスペースを通り、本田につながった。
長友佑都(31)が、我がことのように喜んだ。「たたかれ続けたおっさん連中が、決めてくれた」
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岡崎と本田はともに4年前の主力だった。しかし、3試合すべてに先発しながら1勝もできなかった。その後、バヒド・ハリルホジッチ前監督には戦術に合わないと判断され、代表落ちも経験した。今年4月に西野朗監督が就任して、3大会連続のW杯メンバーに滑り込んだ。
評価を完全に取り戻したわけではない。2試合とも控えで開始の笛を聞いた。
プレーで存在感を示せなくても、心を砕いてきたことがある。4年前の教訓を経験の浅い選手たちに伝えること。「当時は自分たちのサッカーにこだわりすぎて、うまくいかなくなったときに修正できなかった」と岡崎は振り返る。
W杯に向けた合宿から口酸っぱく言い続けてきた。「W杯はうまくいかなくて当然。60%の力でも勝ちきったり、引き分けたりしなければいけない」。刻々と変わる状況に、冷静に対応する大切さを説いた。
セネガル戦で、思いをチームが形にした。リードされるごとに追いついた。「慌てずに自分たちのペースに持ち込めた」と言ったのは、初のW杯を戦う原口元気(27)だ。
本田の言葉が晴れやかだ。「サッカー人生で、控えでいることを、これだけ前向きに考えられたことはない」。ベテランたちの献身で、日本代表の一体感はいま、最高潮に達しようとしている。(清水寿之)