2014年の風力発電用タービンと太陽光パネルの生産量が急増した。中国での需要拡大で、それまで生産能力の過剰と先進国での需要の大幅縮小に苦しんできた再生可能エネルギー関連メーカーの業績好転に拍車がかかっている。

デンマークの風力発電設備大手ヴェスタスは世界最大手の風力タービンメーカーとしての地位を確かなものにした。中国太陽光発電パネルメーカー大手のトリナ・ソーラー（天合光能）も同じく中国企業のインリー・グリーンエナジーを追い落としてトップになった。中国は大気中のスモッグと温暖化ガス排出量を削減する取り組みの一環として、電源構成に占める再生可能エネルギーの比率を20年までに15％まで引き上げようとしており、太陽光パネルと風力タービンのメーカーはそれから恩恵を受けている。

建設されて間もない太陽光発電所（安徽省蕪湖市）＝ロイター

国際的なビジネスのコンサルタント・グループである米ＦＴＩコンサルティングによると、ヴェスタスは14年に販売した風力タービンの発電能力で２年連続で競合他社を上回った。

同年の世界第２位の風力タービンメーカーはドイツのシーメンスで、中国のゴールドウインドと米ゼネラル・エレクトリック（ＧＥ）がそれに続いている。太陽光パネルメーカーの上位３社は中国企業が占めている。それまで第３位だった日本のシャープを中国のジンコソーラーが抜いた。４位はカナディアン・ソーラーでシャープは５位に転落した。

■補助金カット前に風力発電所は建設ラッシュ

14年は前年比40％増となる風力発電能力50ギガワット分の設備が世界で建設された。その理由の一つは、15年に補助金削減が予想される中国で風力発電所の建設ラッシュが起きたことだ。

しかし、ＦＴＩのコンサルタントによると、これが「業界の根本的課題」を覆い隠している。米議会が風力発電に対する優遇税制を延長しなければ、風力発電市場は来年に急激に落ち込みかねないとの懸念をこのコンサルタントは指摘した。「風力発電市場は、いまだに補助金に大きく依存している」という。

これは数年前に市場の急拡大が突然止まってしまった太陽光パネルメーカーにとっての問題でもある。

中国はこれまで長い間太陽光パネルメーカーに、欧州などの補助金に支えられたソーラーパネル需要を利用するよう奨励してきたが、今は市場を創出するため国内での太陽光発電設備の設置を推進する必要がある。中国は太陽光発電パネル生産の４分の３を占めている。