大阪市交通局が2013年に企画し、中止になった地下鉄駅構内のイベントを巡り、随意契約した業者に800万円を支払った問題で、市の外部監察チームは25日、「支払額が適正か重大な疑問がある」とする報告書をまとめた。契約書を作成したのは中止決定後だったのに、5カ月遡った日付で作成していたことも指摘。業者は藤本昌信局長の知人だったという。
藤本局長は同日、市役所で記者団に「厳しい指摘で陳謝したい」と謝罪。800万円は「関係職員で返還したい」とし、自身らが市に返還する考えを示した。
橋下徹市長は記者団に「契約をせずにそういう行為をしたのは問題。人事上の処分はする」と指摘。一方で、局長らによる費用の返済は「慎重に考えるべきだ」と否定的な見方を示した。
報告書によると、藤本局長は13年5月、地下鉄駅構内でアートなどを展示するイベントを同年秋に実施することを業者側と確認。契約書を作らずに準備を進めたが、9月に中止が決まった。
局長らは業者らに準備などにかかった実費を支払う必要があると判断、交通局の広聴広報費から800万円を捻出した。「調査研究に関する契約書」の調印は10月だったのに、5月17日付に遡って作成。支払いの決裁文書も遡って作成した。
報告書は、800万円支払いを「賠償目的だった」と認定した上で「交通局が契約関係上の損害賠償義務を負うことはない」と指摘。生じた損害に「信義則上の賠償責任を負う可能性は否定できない」ものの、業者からの請求に基づく支払額を「局で検証していない」とし、金額が適正だったかは「重大な疑問がある」と結論づけた。