【ジャカルタ=渡辺禎央】米ゼネラル・モーターズ(GM)は26日、インドネシアで「シボレー」ブランドの乗用車の生産を打ち切ると発表した。工場を6月末までに閉鎖。東南アジア最大の市場性に目をつけ2013年に再参入したが、わずか2年で「再撤退」する。日系車が9割以上を占めるなか、販売・部品調達網の構築で歯が立たなかった。
工場はジャカルタ郊外で、ミニバン「スピン」を国内外向けに生産している。GMが05年に撤退した跡地に1億5千万ドル(約180億円)を投じ、年産能力4万台で13年前半に再開したばかりだった。
撤退の理由は素材や部品の調達コストを下げるのが難しいため。競争激化で製造・販売の台数が増えず、大量調達によるコスト削減が進まない。今後は輸入車の販売に注力するが、価格競争力の低下をイメージ戦略などで補えるかが焦点だ。
GMは2日、中国・上海汽車集団との同国合弁会社を通じ、インドネシアに年産能力15万台の工場を設ける計画を発表したばかり。GMが独自に運営するシボレー工場の閉鎖は、上海汽車との事業を踏まえてのアジア生産の再編の側面もある。
インドネシアの14年の新車販売は約120万台。GMは1万台で、シェアは0.8%にすぎない。それでも現地生産により価格を150万円程度と日系車並みに抑えたスピンは、13年に1万1千台を販売し、同社の全車種だと前年比3倍弱の1万5600台に急増した。
14年は前年比で36%減り、市場全体(同2%減)に比べて苦戦した。