札幌市北区の認知症高齢者向けグループホーム「みらい とんでん」で2010年3月、入居者7人が死亡した火災で、業務上過失致死の罪に問われた札幌市中央区の施設運営会社社長、谷口道徳被告(57)は6日、札幌地裁(金子大作裁判長)の初公判で起訴内容を否認し、無罪を主張した。
谷口被告は「刑事責任はないと思っている」と主張。弁護側は「本当の出火原因は分かっていない。被告には火災発生を予見することはできず、被害を防ぐことはできなかった」と指摘した。
冒頭陳述で検察側は、入居者が石油ストーブの上に衣類を置いたことが出火原因になったとの前提で、「認知症の人が予想外の行動を取ることや、入居者の中にストーブに対して火災につながりかねない行動を取る人がいることを被告は知っていた」と指摘した。
谷口被告は罪状認否に先立ち「火災で7人の尊い命が失われたことは痛恨の極み。深くおわび申し上げます」と述べた。
起訴状によると、施設でストーブを柵で囲むといった管理を怠った結果、10年3月13日、入居者男性(当時89)がストーブ上に置いた衣類に火が付き、木造2階建て約250平方メートルが全焼した。男性を含む当時92~65歳の男女7人を焼死させたとしている。
北海道警は13年1月、谷口被告を書類送検し、札幌地検が同5月に在宅起訴。その後、地裁で争点を整理する公判前整理手続きが続いていた。〔共同〕