【ワシントン=矢沢俊樹】米ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は17日の記者会見で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)構想について「既存の国際開発機関を補完し、効果的に機能することで国際社会に利益をもたらす」と述べた。アジア開発銀行(ADB)や世界銀行などの機能を補う立場で運営されるべきだとの考えを示した。
米国として「AIIBに参加する具体的な計画はない」と明言した。「新たな多国間機関は世銀や他の開発機関において確立した(環境などの)高い基準を導入すべきだ」とも強調。やみくもに審査や融資条件のハードルを下げてADBなどとの競争で優位に立とうとしないようけん制した。
日本の当局関係者も「(借り手の)財政の持続可能性や環境に十分配慮した質の高い基準がクリアされない限り、協力検討には慎重にならざるを得ない」とコメント。「現状ではこうした点が全く担保されていない」と述べた。AIIBを巡っては日米が批判的な一方、英国に続きドイツなど主要7カ国(G7)の中からも複数の国が中国への配慮から参画を表明するなど対応が割れている。