トヨタ自動車は18日、2015年春季労使交渉でベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について月4000円を正式に回答した。比較できる02年以降では過去最高水準となった。年間一時金は基準内賃金の6.8カ月(246万円)と、5年連続の満額回答。非正規の期間従業員の日給は過去最高となる300円引き上げる。
ベアの実施は2年連続で、2700円の14年春のベア回答を1300円上回った。定期昇給分にあたる賃金制度維持分は7300円で、賃金上昇幅は1万1300円と過去最高。組合員平均の賃上げ率は3.22%となった。
回答後に愛知県豊田市の本社で記者会見した上田達郎常務役員は、4000円のベア回答の根拠について「競争力強化のために組合員一人一人の力を引き出すことに加え、日本経済活性化の視点や物価上昇も総合的に勘案した」と説明した。実際の配分については一律ではなく、物価上昇の影響が大きい子育て世代などに重点的に配分する方針を示した。
非正規の期間従業員については月20日間勤務とすると6000円の賃上げにあたる。正規社員への登用人数についても前年実績の3倍の300人以上に拡大する。
トヨタの15年3月期の連結営業利益は過去最高の2兆7000億円となる見通し。組合(約6万3000人)は6000円のベアを要求したが、終盤を迎え3700円を軸に労使の話し合いが続いてきた。トヨタが「意志ある踊り場」(豊田章男社長)にあり、グループ全体の競争力強化に取り組む覚悟を労使で確認。4000円の大台乗せに踏み切った。