4月12日投開票の道知事選に立候補する現職の高橋はるみ知事(61)は17日、人口減少対策などを盛り込んだ選挙公約を発表した。経済政策では食品の輸出拡大や外国人観光客の誘致など、成長する海外市場の取り込みを中心に掲げた。原子力政策は「原発に依存しない北海道を目指す」との姿勢を明確にした。26日の告示に向け、高橋氏とフリーキャスターの佐藤のりゆき氏(65)の公約が出そろい、政策論争が本格化する。
札幌市内で記者会見した高橋氏は、3期12年の経験を踏まえ「今までの積み重ねをバネに大胆な発想で挑戦する」と力を込めた。産業振興や医療・福祉、人材育成など5つのテーマを軸に人口減少問題に対応する。
経済政策は「アジアからの追い風を確実に取り込む」と海外市場を意識した項目を重点分野に並べた。海外拠点の新設などで道産食品の輸出額を現在の2倍の1千億円に増やすとともに、空港機能強化などで外国人観光客を3倍の300万人まで引き上げるとした。
北海道新幹線開業に向けては首都圏でのPR活動や企業誘致、道内の交通網整備などを挙げた。このほか、結婚や出産、子育て支援など少子化対策、世界で活躍できる人材育成、防災対策の強化などを盛り込んだ。
高橋、佐藤の両氏の公約で注目されるのが原子力政策だ。高橋氏は「原発に依存しない北海道づくりが基本的な視点になる」と強調。太陽光や風力など再生可能エネルギーを最大限に活用する考えを説明した。北海道電力の泊原子力発電所の再稼働については「道議会や地元自治体の意見を聞いたうえで熟慮を重ねて判断する」と従来の主張を繰り返した。
「脱原発」を掲げる佐藤氏は16日の会見で「再稼働は容認しない」と言明。ただし「世論が分かれた場合は道民投票を実施する」考えも示している。両氏の姿勢は、将来的に原発依存度を下げながら再生エネを活用するという方向性では一致しており、選挙戦の争点となるかは不明だ。
佐藤氏は高橋氏の道政運営について「国にお願いするばかりで主体性がない」と批判を繰り広げてきた。これに対して高橋氏は「批判に思い当たることがなく残念。地に足のついた政策論争をしたい」とけん制した。