国土交通省が18日発表した2015年1月1日時点の公示地価は、全国の商業地が前年比0.0%と7年ぶりにマイナス圏を脱して下げ止まった。住宅地を含む全用途は0.3%下落したが、マイナス幅は5年連続で縮小した。大規模な金融緩和で不動産取引が活発になり都市部の地価を押し上げた。ただ地方は下落が続いており二極化も鮮明だ。
全国の住宅地は0.4%下落し、マイナス幅は14年から0.2ポイント改善した。商業地は0.5ポイント改善した。上昇が目立ったのは都市の商業地で、東京、名古屋、大阪の三大都市圏は上昇率が1.8%となった。札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢都市も2.7%上昇した。
全国で最も上昇率が高かったのは北陸新幹線の開業で再開発が進む金沢(17.1%)だ。最高額地点は9年連続で東京・銀座の「山野楽器銀座本店」(1平方メートルあたり3380万円・上昇率14.2%)だった。日銀の大規模緩和で資金調達がしやすくなり、都市部の商業地は企業や不動産投資信託(REIT)の取引が活発だ。海外の企業やファンドによる投資も多い。
地方は持ち直しが遅れている。三大都市圏の全用途平均は0.7%上昇して2年連続のプラスだが、地方圏は1.2%下落した。住宅地、商業地とも都市圏はプラス、地方圏はマイナスと明暗が分かれている。
都市圏の住宅地は2年連続で上昇したが、上げ幅は0.4%と前年(0.5%)からやや縮小した。東京などの都心部の住宅地は高い伸びだが、都市近郊は上昇が一服して都市圏の中でも二極化している。昨年4月の消費税増税によって14年の住宅着工が前年比9%減の約89万戸と5年ぶりに前年実績を下回ったことが響いた。建築資材や労務費の上昇で建築コストが上がっていることも住宅投資にはマイナスだ。