【ドバイ支局】サウジアラビア主導のイスラム教スンニ派諸国は29日、イエメンのシーア派系武装組織「フーシ」に対する空爆地域を国際空港などに拡大した。ロイター通信はサウジ軍関係者による28日の話として、フーシがイエメン軍から奪取していた弾道ミサイルのほとんどを破壊したと伝えた。両者とも徹底抗戦の構えを崩しておらず、戦闘が長期化する恐れが出ている。
サウジ軍などはフーシの攻撃能力をそぐためにミサイル破壊に優先的に取り組んでいる。29日には首都サヌアの国際空港への空爆を本格化した。AFP通信によると、空爆の滑走路は使用不能になったとされる。
イエメン政府とフーシは相互に強硬姿勢を維持しており、当面、対話による解決の糸口は見えない。ヤシン外相は29日、エジプト国営テレビとのインタビューで、フーシと現時点では「交渉や対話を行わない」と表明した。交渉の条件としてフーシに略奪した武器の返還を求めた。
ハディ暫定大統領は28日、エジプトで開かれたアラブ連盟の首脳会合の席上、フーシを「イラン政府のかいらい」と非難した。そのうえでアラブ諸国にフーシへの空爆を続けるよう要請した。
サウジ軍などは26日からフーシに対する空爆を続けている。アラブ連盟は29日、加盟国による合同軍の創設で合意した。合同軍のイエメンへの派遣も視野に入れているが、実際の派遣までには時間がかかりそうだ。
フーシは同じシーア派のイランの支援を受けているとみられており、イエメン情勢が欧米とイランの核協議に影響を及ぼす可能性がある。