【ローザンヌ=久門武史】イラン核問題の包括解決を目指す米欧など6カ国とイランは31日、スイス西部ローザンヌで外相級による大詰めの交渉を続ける。枠組み合意の目標とした31日を迎えたが、核開発の制限期間や経済制裁の解除などでなお攻防が続いている。
米欧側の外交官は30日、主な対立点が3つあるとの認識をロイター通信に示した。イランの核武装を疑う米国は核開発に10年以上の制限を課す方針だが、その後の措置を含む制限期間でまだ一致できていない。見返りとなる制裁解除でも、イランは国連安全保障理事会の決議による制裁を解くよう求め、折り合いがついていない。合意履行を確実にするための仕組みでも隔たりがあるという。
一方、欧米メディアは、ウラン濃縮に使う遠心分離機を稼働中の約1万基から6千基以下に減らし、濃縮済みウランの大部分をロシアに移送する案にはイランが応じる姿勢を示していると伝えた。
枠組み合意の体裁を巡っては、イランが文書への署名に難色を示している。6月末までとした最終合意に先立って正式な文書を交わせば、交渉の自由度を損なうと判断しているためとみられる。口頭での声明などにとどまれば、枠組み合意の実効性を疑う声が強まる可能性もある。
ローザンヌではイランのザリフ外相とケリー米国務長官が26日から協議を重ね、29日までに仏独中ロ英の外相も合流した。30日に参加国すべての外相がそろい全体会合を開いたが、突破口は開けていない。
イランと6カ国は昨年11月、最終合意を今年6月末までに、その骨格となる枠組み合意を3月末までにまとめることで一致している。