政府は31日、契約ルールを定める債権関係規定(債権法)の民法改正案を閣議決定した。金銭賃借などの契約で当事者同士が特に定めなかった場合に適用される「法定利率」を年5%から3%に下げるほか、飲食代や診察料など内容によりばらばらだった支払い時効を5年に統一する。インターネットの普及など時代の変化にあわせ、消費者保護に軸足を置く形で大きく見直す。
改正は200項目以上にのぼる。債権法の見直しは法制審議会(法相の諮問機関)が2月に上川陽子法相に答申した。抜本改正は1896年(明治29年)の制定以来初めてで、今国会で成立すれば2018年をメドに施行される予定だ。
法定利率は年3%に下げた後、市場金利の変動を踏まえて3年ごとに1%刻みで見直す。自動車保険の保険金算出にも影響が見込まれる。交通死亡事故で被害者側が受け取る「損害保険金」は、事故がなかった場合に本人が稼ぐであろう収入額から、まとめて受け取った保険金を将来にわたって運用した場合の利息などを差し引く。
この場合の利息を法定利率の5%で計算するため、現在の利息水準と乖離(かいり)があり、被害者側の受取額が抑えられていると指摘されていた。民法改正で被害者側の受け取る保険金の増額などが見込まれている。