【上海=土居倫之】中国国務院(政府)は31日、銀行の預金保険制度を5月1日に導入すると発表した。銀行の破綻時に最大50万元(約970万円)まで預金を払い戻す。預金金利の完全自由化を前に、金融システムの安全網(セーフティーネット)づくりを急ぐ。
国務院が31日発表した預金保険条例によると、対象は中国国内の商業銀行や農村合作銀行などで外資系銀行も対象となる。銀行は信用力や預金額に応じて政府に保険料を納め、その保険料が払い戻しの原資となる。
中国では経済成長の鈍化で銀行の収益力が落ちている。この状況で預金金利を自由化すると、預金獲得競争が激しくなり、銀行経営が行き詰まるリスクが高まる。中国ではこれまで、預金者を保護する枠組みが明確でなく、預金者の不安心理が広がりやすかった。
日米欧など先進国ではいずれも預金保険制度を導入済みだが、中国では保険料負担を敬遠する国有銀行がこれまで導入に消極的だった。