【ワシントン=小竹洋之】米労働省が3日発表した3月の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は前月に比べて12万6千人増えた。増加幅は市場予測の平均値(25万人)の半分程度にとどまった。外国為替市場では景気回復ペースが鈍化するとみたドル売りが広がり、円相場は一時、1ドル=118円台に上昇した。
失業率は前月と同じ5.5%だった。雇用者数の増加幅は2013年12月(10万9千人)以来、1年3カ月ぶりの低水準となった。企業向けサービスや教育・健康サービス、小売りなどは順調に伸びたが、製造業や建設業などがわずかに減った。ドル高や原油安の影響で、一部の業種が雇用を抑制している可能性がある。
2月の増加幅は29万5千人から26万4千人に、1月は23万9千人から20万1千人にいずれも下方修正された。ただ1~3月の平均は月19万7千人で、雇用回復の目安といわれる20万人前後のペースを維持している。
失業率は市場予測と同じで、08年9月のリーマン・ショック前の水準まで回復している。平均時給は24.86ドルとなり、前月比で0.3%、前年同月比では2.1%上昇した。
輸出の停滞や住宅市場のもたつきといった不安要素は残るものの、米経済は個人消費をけん引役に着実に回復している。米連邦準備理事会(FRB)は雇用や賃金の動向を十分に見極めながら、利上げ開始の時期を慎重に探る方針だ。