【ニューヨーク=高橋里奈】国連は3日、イエメン情勢を巡り、4日に安全保障理事会で非公開の緊急協議を開くと発表した。サウジアラビア軍などによるイスラム教シーア派系の武装組織「フーシ」への空爆について「人道目的による一時停止」を主に話し合うとみられる。混迷を深めるイエメン情勢に国際社会が歯止めをかけるのは難しく、議論が紛糾する可能性がある。
安保理の緊急招集はロシアが求めた。在留外国人らの退避を目的に空爆の一時停止を求める狙いがあるようだ。
安保理は2月にもフーシに対し、制圧した政府機関から即時撤収し、国連の仲介による和平交渉に応じるよう要求する決議案を全会一致で採択している。
イエメンではフーシが事実上のクーデターで首都サヌアを制圧し、政権掌握を宣言した。今年1月には大統領宮殿を制圧、ハディ暫定大統領は退避して国家の分裂状態にある。ハディ氏を支持するサウジアラビアは空爆を始め、フーシへの攻勢を強めている。
ただ、その後もイエメン情勢は複雑な形で悪化の一途をたどっている。シーア派のフーシに対し、宗派が異なるスンニ派の武装組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」も攻撃を仕掛けている。3日にはAQAPが南部ムカラの軍基地を制圧するなど勢力を拡大している。
イエメン国境沿いの銃撃戦では同日、サウジ国境警備隊の2人が死亡した。サウジ軍は地上部隊を国境地帯に集結させており、地上戦への緊張も高まっている。