【ロンドン=黄田和宏】9日の欧州株式市場で、欧州の主要600社で構成する株価指数のストックス600が15年ぶりに過去最高値を上回った。欧州中央銀行(ECB)による量的緩和策の実施でユーロ安が進み、景況感が改善している。世界の投資家は欧州景気の回復期待を背景に欧州株への投資を過去最大規模に膨らませている。
最近のM&A(合併・買収)の増加傾向も株高を促しているようだ。
ストックス600はこの日、一時408.73に上昇し、2000年3月につけた取引時間中の過去最高値(407.56)を上回った。世界の投資信託の資金流出入を集計するEPFRグローバルによると、1~3月の欧州株への資金の純流入額は517億ドルと、年間で過去最高だった13年の9割以上に達した。欧州株への資金流入が株価を押し上げている。
欧州景気の先行きにも底堅さが強まっている。金融情報会社マークイットが集計した3月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)は、製造業とサービス業を含む総合が過去4年の最高水準に並んだ。ユーロ安の恩恵を受けている輸出企業にとどまらず、景況感の改善が広がってきた。
英バークレイズのストラテジスト、デニス・ホセ氏は「今後、ユーロ安のペースが鈍化すれば、通貨安の恩恵を受ける企業よりも内需企業の魅力が高まる」と説明する。同社はストックス600が年末までにさらに1割近く上昇すると予想しており、欧州株の先高観はなお強い。
もっとも、国ごとには騰落率の格差が広がっている。先駆けて過去最高値をつけたドイツ株はこの15年間で5割程度上昇しているが、欧州債務危機の影響の残るイタリアなどでは前回のピークを大幅に下回る水準で推移しており、域内の景況感の格差を反映している。