最高裁は11日までに、一方の親に国境を越えて連れ去られた子供の扱いを定めたハーグ条約を巡って、2014年4月の日本の加盟から今年3月までの1年間に、家裁への子供の返還申し立てが16件あったと発表した。家裁はこのうち9件の審判で、子供の移送を認める決定をした。却下は1件だった。
ハーグ条約は一方の親が了解なく16歳未満の子供を国外に連れ去った場合、原則として子供を元の居住国へ戻すよう定めている。海外から来日した子の取り扱いを巡って当事者間の話し合いが合意に至らなかった場合、親が東京家裁か大阪家裁に返還を申し立てる。
16件の内訳は東京家裁が12件、大阪家裁が4件だった。決定を不服として高裁に即時抗告があったのは3件。高裁はこのうち2件で家裁の判断を維持して抗告を棄却した。残る1件は抗告が取り下げられた。
これまでに、スリランカ在住の日本人の父親が大阪家裁に申し立てた審判で、日本人の母親と一緒に来日した女児についてスリランカへの返還を命じた決定などが明らかになっている。