激しい揺れが続き、真っ暗な機内に煙が充満した。14日夜、広島空港への着陸に失敗し、滑走路を外れ停止したアシアナ機。悲鳴と怒号が飛び交い、血を流す人も。シューターを使って脱出した乗客らは「着陸の瞬間にバウンドし、エンジンから炎が出た」と当時の状況を生々しく話した。
「爆発しないかと思うと怖かった。死ぬかと思った」。後方の座席に座っていた広島市の50代女性は表情をこわばらせた。友人と3人で韓国旅行からの帰り。女性らによると、出発前に乱気流を知らせる機内放送があった。着陸の10分ほど前から機体が大きく揺れ「頭を抱えろ」。どこからか男性の怒鳴り声がした。
着陸の瞬間バウンド。別の乗客は「『ドン』という音がした瞬間、機内は真っ暗になり、非常灯だけになった。前方からカートが2個、飛び出てきて、女性客の1人にぶつかり、顔から出血していた」と話した。
客室乗務員の女性が慌てた様子で叫んでいた。機体を引きずるような「ギギー」という金属音も響く。窓の外を見るとエンジンから炎が出ており、機内に煙が充満した。50代女性は「かなり焦げ臭かった」と振り返る。
全員がシューターを使って地上に滑り降り、水浸しの滑走路を走って機体から離れた。赤ちゃんを抱えた女性が膝から血を流すなど脱出の際には多数が負傷したという。
空港内の消防隊がすぐに駆け付け、救出にあたった。無事だった乗客らは脱出後、国際線到着ロビーからタクシーやバスで足早に立ち去った。〔共同〕