【ワシントン=上杉素直】日米欧と新興国が世界経済について話し合う20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が16日夜(日本時間17日朝)、ワシントンで開幕した。麻生太郎財務・金融相は開幕に先立ち米国のルー財務長官と会談。中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡っては、公正なガバナンス(統治)の確保が重要との認識で一致した。
会談に先立ち握手する麻生財務相(右)とルー米財務長官(16日、ワシントン)=ロイター
AIIBはアジアや欧州、南米、アフリカの57カ国が創設メンバーで、日米は加わっていない。30分あまりにわたった日米財務相会談ではAIIBについて、公正なガバナンスの確保、債務の持続可能性、環境や社会に対する影響への配慮――などの「国際的に確立したスタンダード(標準)に基づくことが重要」(麻生財務相)という両国の立場を確認した。
日米財務相は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)といった既存の国際機関との協調融資に取り組むことが、AIIBにとって効果的だとの考えも示した。日本は、AIIBの融資決定のプロセスなどに不安が残るとして、出資には慎重な姿勢をとっている。日米財務相会談で今後のAIIB参加に関する直接的なやり取りはなかったという。
G20会議は16日夜に始まり、17日に共同声明を採択して閉幕する。中国がAIIB設立に動いた背景には、急伸した経済力に比べ既存の国際金融機関での発言力が低いままだとの不満がある。G20会議では、米議会の承認が得られず停滞している国際通貨基金(IMF)改革についても話し合う。麻生財務相は16日のラガルドIMF専務理事との個別会談でも、IMF改革を取り上げた。