三井物産は21日、金沢工業大学と炭素繊維の加工技術などを共同開発すると発表した。同大学向けに炭素繊維を加工する設備を購入するほか、自動車や金型・機械メーカーなどの参加を募り、商品化の仲介なども手掛ける。日本勢は世界の炭素繊維の約7割を生産するが、加工・成型技術では欧米勢に遅れている。同大学との共同開発を通じ技術力を底上げする。
炭素繊維材料の開発では国内最大の研究施設である金沢工業大の「革新複合材料研究開発センター」にドイツ社製の加工・製造設備を導入する。3億円の購入費は三井物産が負担する。
型の中に炭素繊維材料を投入して樹脂と結合する「RTM」工法と呼ぶ海外の技術を吸収する。工程が簡略化できる同工法を使えば、製造コストを抑えられるほか、量産に必要な高速生産も可能になるという。
日本勢の炭素繊維の生産高は、航空機向けなどの素材としては世界の7割を占める。しかし、部品などに加工した製品レベルでは1割程度にとどまっている。
今後需要が見込まれる自動車などに使うには、材料費に加え加工・成型のコストと時間を短縮する必要がある。欧米の工法を取得し改良することで、材料費の半分程度まで加工費を引き下げる。2年後をメドに具体的な部品の商品化を目指す。