【ニューヨーク=宮本英威】ブラジル中央銀行は29日の通貨政策委員会で政策金利の基準金利を0.5%引き上げ、年13.25%にすると発表した。利上げは5会合連続。金利は2009年1月(13.75%)以来の高水準となった。干ばつや通貨レアル安による輸入物価上昇を背景にインフレが加速していることに対応した。
中銀の9人の政策委員が全員一致で決めた。30日から適用する。引き上げ幅は4会合連続で同じだった。
3月の拡大消費者物価指数(IPCA)は前年同月比で8.13%上昇した。03年12月(9.3%)以来の高い水準で、中銀の物価目標の上限(6.5%)を3カ月連続で上回った。飼料高や水不足で牛肉や果物の価格上昇が目立っている。
金融市場では次回6月会合でも「利上げは続く」との見方が優勢だ。今年のブラジル経済はマイナス成長となる見込み。14年10月に始まった今回の利上げ局面の上げ幅も合計で2.25%に達している。米国野村証券のベニート・バーバー氏は「次回の上げ幅は0.25%になる」という。
同じ新興国では中国やインドが景気下支えのために利下げに動いている。ブラジルは両国よりも足元の経済状況が厳しいが、中銀は景気にマイナスとなる利上げを続けている。