【バクー(アゼルバイジャン東部)=中村亮】中国の楼継偉財政相は4日、アジア開発銀行(ADB)の年次総会で講演し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)とADBは「補完しあう関係になる」と述べた。今後についてはインフラ融資などを念頭に、「人材交流などを通じ協力を進めたい」と強調した。
ADBとAIIBを巡っては中尾武彦ADB総裁とAIIBの初代総裁に就任する見通しの金立群・中国元財政次官が1日に会談。アジアのインフラ整備を加速するために協調融資することで事実上合意した。AIIBに強い影響力を持つ楼財政相が協力分野を人材交流に広げる考えを示すことで、一段踏み込んだ関係構築を求めた格好だ。
各国代表の講演では、ADBとAIIBの連携を求める声があった。韓国の崔炅煥(チェ・ギョンファン)企画財政相は「ADBは他の国際機関と連携する必要がある」と発言。今後のアジアでのインフラ整備については「民間マネーが要となる」と指摘した。
麻生太郎副総理・財務相は高効率の石炭火力発電や新幹線といった日本が得意とする技術やノウハウの輸出を通じインフラ整備を加速する考えを表明。「良質なインフラは初期投資が高くても長い目でみれば受益国の国民負担の軽減と開発効果の向上につながる」と述べた。
総会では、2017年の総会開催地を横浜市に正式決定した。日本で開くのは京都市で開いた07年以来。10年ぶり5回目となる。麻生氏は「アジアとADBの未来を議論するのに最適な場所」と述べ、ADB改革を引き続き議題に取り上げていく考えを示した。