【ドバイ=久門武史】イエメンのイスラム教シーア派武装組織「フーシ」と連携するサレハ前大統領派の軍部隊の報道官は10日、フーシなどへの空爆を続けてきた隣国サウジアラビアが呼び掛けた12日から5日間の人道目的の停戦を受け入れると表明した。フーシが掌握する国営サバ通信が伝えた。これに先立ちフーシも人道停戦に「前向きに対応する」と表明しており、停戦実現の機運が高まってきたもようだ。
この報道官は声明で停戦への同意は「友好的な国々による仲介」の結果だと指摘し、フーシを支援するシーア派の大国イランなどの働きかけがあったことをうかがわせた。同時に「停戦違反があれば軍、治安部隊、民兵組織が自衛権を行使する」とも警告した。人道停戦の期間は延長できる。
サウジを中心とする中東湾岸諸国の首脳は13日から米国でオバマ米大統領と会談する予定だ。サウジは訪米前の停戦を探っていたとみられる。
サウジなどスンニ派諸国の軍は3月26日に空爆作戦を開始。4月21日にいったん終了を宣言したが、その後も続けた。イエメンではフーシと、サウジが支持するハディ暫定大統領派との衝突が続いている。国連によると死者は1400人を超え、食料や医療品の不足による人道危機に国際社会の懸念が強まっている。
サウジのジュベイル外相は8日、パリでのケリー米国務長官との共同会見で、人道停戦を12日に始めると表明していた。