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世界景気「米国経済かなり力強い」 本社討論会で朝田氏

日本経済新聞社と日本経済研究センターが18日午後に開いた景気討論会では、世界経済の見通しについて緩やかな回復基調が続くとの意見が多かった。


討論する丸紅の朝田会長(18日午後、東京・大手町)


 


討論する丸紅の朝田会長(18日午後、東京・大手町)


一部で停滞の可能性も指摘されている米国の景気については朝田照男丸紅会長は「米国経済はかなり強いと言っていい。年内の利上げの可能性はきわめて高い」とした。


米商務省が4月末に発表した1~3月期の米実質国内総生産(GDP、速報値)は年率換算で0.2%増と、2014年10~12月期の2.2%から大幅に低下した。前田栄治日本銀行調査統計局長は1~3月期の米国のGDPについて「寒波などの悪天候や、西海岸での港湾ストなどの一時的要因が影響している。方向的には景気はよくなっているのでは」と話し、米景気について前向きな見方を示した。嶋中雄二三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長は「4月も米景気は弱含んでいる」としつつも「しぶとく持ちこたえると言わざるをえない」と結論づけた。嶋中所長は利上げの時期について「9月と予想しているが、GDPの結果次第では年末にずれ込む可能性もある」とした。


一方、中国の景気には悲観的な見方が多かった。朝田会長は中国経済については、「かなり悪い状況で、金利の引き下げによる貸し出しは増えているものの、鉄道輸送や粗鋼生産、不動産販売では、かつての力強さがみられない」と話した。嶋中所長も「08年のリーマン・ショック直後の水準になっている経済指数もある。すでに中国経済はリセッション(景気後退)期に入ったと言っていい」とした。


岩田一政日本経済研究センター理事長も中国について「(1人当たりGDPの改善が壁にぶつかる)『中進国のわな』に陥っている」と指摘。こうした状況の打開に李克強首相が地方行政改革などを進めているが、「成長率の実力としては年率5~6%程度では」と7.0%だった1~3月期の実質GDP成長率よりも低いとの見方を示した。


欧州経済については前田局長が「ギリシャの債務問題はリスク要因だ」とした。欧州連合(EU)との金融支援再開を巡る交渉については合意するとの見方は多いものの、「これから迎える債務返済などの動向を注意深くみていく必要がある」と強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


朝田照男(あさだ・てるお) 1972年慶大法卒、丸紅入社。2002年執行役員財務部長、05年代表取締役常務執行役員、06年代表取締役専務執行役員、08年に代表取締役社長。13年代表取締役会長、14年4月より取締役会長。


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