経営共創基盤の子会社で公共交通の再生を手掛けるみちのりホールディングス(HD、東京・千代田)が湘南モノレール(神奈川県鎌倉市)を買収する。みちのりHDは湘南モノレールの株式90%超を取得。年間利用客数はほぼ横ばい状態が続いているため、広域からの誘客などを進めることで経営基盤を強化するとともに、地域活性化につなげる。
みちのりHDは22日付で、湘南モノレールの株式55.2%を保有する三菱重工業と株式譲渡契約を締結。三菱電機と三菱商事がそれぞれ18.4%ずつを持つ湘南モノレール株も買い取り、計92%を取得する。買収額は明らかにしていない。
湘南モノレールの田中孝治社長は続投し、残りの取締役5人は退任する見通し。みちのりHDは6月上旬に複数の取締役を派遣する。社員105人の雇用は維持する。
みちのりHDは湘南モノレールの買収について(1)地域の交通機関としての役割を引き継ぐ(2)バリアフリー化をはじめとした利便性の向上に努める(3)利用者の増加による成長を目指す――の3点を基本方針に据えた。
年間1000万人でほぼ横ばい状態が続いている利用客数については、広域誘客や運行ダイヤの利便性向上などを通じ、数%程度の伸びを目指す。沿線住民の高齢化の進展も踏まえ、全8駅の半分しか対応していないバリアフリー化も急ぐ。
湘南モノレールは大船(鎌倉市)―湘南江の島(藤沢市)間の6.6キロメートルを結んでいる。
みちのりHDの松本順社長は22日、鎌倉市内で記者会見し、「(湘南モノレールは)地域の重要なインフラ。維持・発展に向け精いっぱい取り組む」と述べた。
みちのりHDは傘下に福島交通や茨城交通など5つの交通・観光事業会社を持つ経営支援会社。