【ワシントン=矢沢俊樹】米議会上院は22日夜の本会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)妥結に不可欠となる大統領貿易促進権限(TPA)法案を賛成多数で可決した。法案は下院に送付され、議会が一時休会明けする6月から下院での攻防が本格化する。
TPA法案は上院の関門をひとまず越え、TPP妥結を後押しする材料になる。ただ、下院ではTPAとTPPへの反対勢力が多く、焦点の「為替操作」への報復条項を巡る修正なども協議が難航するのは確実だ。
日米など12カ国によるTPP交渉が動きだすかも、まずはTPA法案が議会を通ってオバマ大統領に強力な通商権限が委任されるかにかかっている。米議会の調整は緊迫した局面を迎える。
上院は審議打ち切りと最終表決に進むのに必要な動議を21日に62対38で可決していた。野党・共和党のハッチ財政委員長ら上院幹部は23日からの議会一時休会をぎりぎりに控え、22日夜に本会議投票に踏み切った。
今後の焦点は下院本会議でのTPA法案の取り扱いになる。TPP妥結を確実にしたいライアン氏ら共和幹部は短期間の審議を主張しているが、共和内部でも態度未定や反対を表明している議員が多く、審議日程は不透明だ。
ホワイトハウスと共和幹部らはTPA法案について、本会議を通すのに必要な過半数(218人)をまだ確保できていないとの見方がもっぱらだ。