慶応義塾大の岡野栄之教授らは発育や知能に遅れが出る女児の難病「レット症候群」の患者の細胞からiPS細胞を作製した。脳の組織を支える細胞が健康な子供と比べて多く作られていた。治療法の開発などに役立つとみている。英の医学専門誌(電子版)に27日発表した。
レット症候群は女児の1万5千人に1人の割合で、生後半年から1年半ごろに発症するとされる。成長とともに、知能や言語、運動能力の遅れといった症状が表れる。今年、難病医療法に基づく「指定難病」に指定される見通し。患者のほぼ9割でMECP2という遺伝子が変化しているのが見つかっている。
研究グループは2人の患者から皮膚細胞の提供を受けてiPS細胞を作製し、脳を構成するさまざまな組織の元になる細胞に変化させた。その後の様子を観察したところ「アストロサイト」と呼ぶ細胞が通常よりも多くできることがわかった。