【エルマウ=竹内康雄】主要7カ国首脳会議で、日本と欧米の間で中国に対する姿勢に温度差が浮き彫りになった。中国による南シナ海での岩礁埋め立てにG7首脳は「一方的な現状変更に強く反対する」と一致したが、詳報したのはアジアメディアが中心で米欧メディアの発信は少ない。
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐっても、英仏独などは参加を表明しているものの「地理的に遠く、中国を大きな脅威ととらえる見方は多くない」(仏外交官)。AIIBをめぐり安倍晋三首相が「汚職対策が重要だ」と主張したところ、議長のメルケル独首相は「非常に重要な問題だ」としつつも「次期議長国の日本のもとでしっかりと議論してほしい」と踏み込んで取り上げるのは避けた。米欧の主要メディアはほとんど報じていない。
米欧の関心はもっぱらウクライナ問題を巡るロシアに集中した。両国と国境を接する欧州連合は差し迫る危機ととらえ、オバマ大統領も主要課題にあげていた。米欧主要紙は「G7は対ロシアで結束し、制裁を継続する」(仏紙ルモンド)などと積極的に報じた。