中国の「長征11号」キャリアロケットが黄海の海域で15日、「吉林1号」高分03組衛星計9基を535キロ離れた太陽同期軌道に打ち上げた。中国のロケット海上打ち上げ商業化の幕を開いた。人民網が伝えた。
あれほど広い陸地があるのに、なぜわざわざ海上から打ち上げるのだろうか。長征11号の開発をリードした中国航天科技集団有限公司所属の中国キャリアロケット技術研究院の発表によると、地上打ち上げ型ロケットと比べると、海上打ち上げ型ロケットはその特有の技術的優位性と打ち上げの適応性により、国内外で広く注目を集めている。特に高効率・低コストの特長により、商業打ち上げ分野で一席を占めている。
長征11号の副総指揮を務める金◆氏(◆は品の口が金)によると、通常の地上からの打ち上げと異なり、海上打ち上げ型ロケットには次の3つの優位性がある。
(1)積載能力の向上。金氏によると、ロケットを赤道付近で打ち上げれば地球の自転の速度を最大限に利用し、推進剤の消費量を削減できるため、ロケットの積載能力を高められる。海上打ち上げプラットフォームは地上の制限を受けず、海上の広い範囲を移動できることから、ロケットの「理想的な打ち上げ場所」を見つけることができる。
(2)特殊な軌道任務の遂行が可能。金氏によると、情報技術の発展に伴い、人々は海上探査により厳しい要求を突きつけている。低傾斜角衛星はあるエリアの高頻度再訪を実現でき、データの取得に向いている。その数は現在増加傾向にある。ロケットを赤道付近から打ち上げれば、衛星の軌道上の傾斜角変化のエネルギー消耗を回避できる。ロケットの同類任務の積載能力を高める上、衛星の軌道上の耐用期間も効果的に延長できる。
(3)安全性が相対的に高い。内陸部での打ち上げの場合、落下地点の安全は打ち上げ任務の設計において必ず考慮すべき重要な要素だ。海上打ち上げの場合、人口密集地から遠く離れており、ロケットの落下地点の選択可能な範囲が広い。ロケットにとっては、打ち上げる軌道の設計がより便利になると同時に、落下地点の安全性も飛躍的に向上する。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年9月16日