【バンコク=京塚環】日本政府とタイ暫定政権は12日、首都バンコクで建設が進む都市鉄道の一部費用について約382億円の円借款を供与することで合意した。日本からタイへの新たな円借款は5年ぶり。交通渋滞を緩和し大気汚染の低減につながるとして環境案件の対象とし、0.4%という通常より低い金利を適用する。
円借款はバンコク北部に建設中の「レッドライン」の高架部の建設など土木工事に充てる。約26キロメートルの区間で、地場建設大手イタリアン・タイ・デベロップメントなどが建設を担う。
車両導入などを含めた総事業費は約3800億円となる見込み。現在車両システムなどの選定が進んでいる。日タイは鉄道分野での協力で合意しており、日系企業連合の受注が期待されている。
中進国入りしたタイは国債金利で資金を調達した方が円借款より金利が低いため、少額の無償資金援助などを除いた政府開発援助(ODA)の活用機会が減っていた。