【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は19日、南部サウスカロライナ州で黒人が多く集う教会が銃撃された事件を受け、銃規制強化に乗り出す決意を訴えた。「米議会は非協力的だが、私はあきらめない。米国は最終的には正しいことをするだろうというのが私の信念だ」と表明した。銃規制強化に反対する野党・共和党を批判した。
19日、米サンフランシスコで演説するオバマ大統領=AP
遊説先の西部カリフォルニア州サンフランシスコの会合の演説で触れた。オバマ氏は2012年12月に多くの幼い子供が銃の犠牲になった東部コネティカット州の事件に言及。「もし米議会が直後に銃規制強化案を成立させていたら、今回の事件が防げたかどうかわからないが、何もしなくては銃の暴力を防ぐことはできない」と指摘した。
「まだ多くの米国人は私と同じ気持ちだと思う。究極的には米議会は世論に従う。われわれは銃の暴力による混乱を止めなければならない」と語った。銃による惨劇が繰り返される悪循環を断ち切らなければならないと強調した。
殺傷能力の高い自動小銃の製造・販売の禁止や個人の犯罪歴の照会を義務付ける条項を盛り込んだ銃規制強化案は13年、野党・共和党のほか、与党・民主党の一部が反対して否決された。
オバマ氏は今回の事件の容疑者が白人男性で、ヘイトクライム(人種や宗教を動機とする犯罪)が背景にある点を踏まえ「我々は人種差別とも闘っていかなければならない」と力説した。前日には緊急声明で今回の事件を「米国の暗部」と断じていた。
ヒラリー・クリントン前国務長官(67)ら来年11月の次期米大統領選に出馬表明している候補らも重要州であるサウスカロライナ州の事件について見解を明らかにしている。銃規制強化や人種差別は大統領選の争点にも急浮上している。