29日の東京外国為替市場で円相場は3日続伸した。17時時点では1ドル=122円92~95銭近辺と、前週末26日の同時点に比べ44銭の円高・ドル安水準で推移している。オセアニアの取引時間帯に当たる日本時間の早朝7時すぎに一時122円11銭近辺と5月26日以来、約1カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。ギリシャの支援協議が決裂し同国の債務不履行(デフォルト)懸念が強まってきたことで「低リスク通貨」の円を買う動きが強まった。
ただ円は上値が重かった。15時すぎ、フランスのサパン財務相がギリシャ政府と欧州連合(EU)など債権団との協議再開の可能性を示唆したと報じられ、対ユーロで円の売りが広がると円は対ドルでも売りが増えた。朝方は、日銀の黒田東彦総裁が28日の国際決済銀行(BIS)年次総会で「(物価上昇率2%達成への)シナリオに対するリスクは看過できない」と述べたと伝わると日銀の追加緩和期待が広がり、円売り・ドル買いが出た。9~17時の円の高値は1ドル=122円33銭近辺、安値は123円19銭近辺で値幅は86銭程度。
円はユーロに対し大幅に5日続伸した。17時時点では前週末17時時点に比べ2円14銭円高・ユーロ安の1ユーロ=136円08~11銭近辺で推移している。ギリシャのデフォルト懸念から円買い・ユーロ売りが先行し、日本時間の早朝に約1カ月ぶりの高値の133円80銭近辺を付けた。しかし日銀総裁や仏財務相の発言が円の伸び悩みを誘った。
ユーロは対ドルでは大幅安となった。17時時点では同0.0136ドルユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.1068~71ドル近辺だった。1.09ドル台まで下落幅を拡大。ギリシャ債務問題の先行き不透明感を背景にユーロ売り・ドル買いが進んだ。その後、仏財務相発言などを材料にユーロの買い戻しが広がり、ユーロは下げ渋った。〔日経QUICKニュース(NQN)〕