日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス15となり、前回3月調査から3ポイント改善した。改善は3四半期ぶりで、消費増税前の駆け込み需要があった2014年3月調査以来の高水準だった。好業績を背景に企業が設備投資に積極的になっており、設備関連の業種を中心に景況感の改善が進んでいる。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。QUICKが集計した市場予想の中央値(プラス12)を上回った。
業種別では、設備投資に関係する生産用機械、業務用機械、電気機械で大幅に改善した。アジアや欧州など海外景気の先行きが不透明なのを受け、自動車や鉄鋼などの景況感は悪化した。
大企業製造業の15年度の設備投資計画は前年度比18.7%の大幅増となった。6月調査としては04年度の20.4%以来、11年ぶりの伸び。これまで控えてきた生産能力増強のための投資も増え始めたという。
大企業非製造業の景況感は前回調査を4ポイント上回るプラス23で14年3月以来の高水準となった。訪日外国人の増加で小売りや宿泊・飲食サービスなどの景況感が改善した。原油安で燃料コストが下がった運輸・郵便などでも改善の動きが広がった。
一方、中小製造業のDIは3月調査より1ポイント低いゼロで3四半期ぶりに悪化。非製造業は3月調査を1ポイント上回るプラス4にとどまった。製造業では自動車輸出の不振が、下請けの部品メーカーの景況感を暗くしている。
先行きの業況見通しはまだら模様だ。3カ月後の見通しは大企業製造業でプラス16と、足元判断から1ポイント改善する。一方、非製造業はプラス21で、足元から2ポイント悪化する。中小企業にも慎重な見方が目立つ。
大企業製造業が15年度の事業計画の前提としている想定為替レートは1ドル=115円62銭だった。3月調査の111円81銭から4円近く円安・ドル高方向に修正された。