【バンコク=京塚環】トヨタ自動車は2日、11年ぶりに全面刷新した新興国戦略車「IMV」の1トンピックアップトラックをタイから初輸出した。中東やオーストラリア、欧州など100カ国・地域以上に輸出する。タイはトヨタの1トンピックアップ生産の世界最大拠点。2016年は年産能力の約6割に当たる約30万台を輸出に振り分ける計画で、新興国への輸出基地としてのタイの位置づけを高める。
IMVの中核モデルとなる1トンピックアップの新型「ハイラックス」を積み込み、2日にタイ中部の同国最大の港湾レムチャバン港を出発した大型船は日本を経由し約1カ月かけて中南米などに向かう。トヨタは15年中に19万台の輸出を計画する。
同日開かれた記念式典で棚田京一常務役員(トヨタ・モーター・タイランド社長)は「タイの品質が世界水準であることを世界の人が認めており、今後も生産量を増やし需要に応えたい」とタイの拠点拡充を示唆した。タイはすでにトヨタの世界のIMV生産の約5割を担っており、ハイラックスだけでみれば約7割が「メード・イン・タイランド」だ。
同式典に出席したタイのプリディヤトーン副首相は、新型車が同国内で生産した部品を9割以上採用している点に触れ「IMVの輸出開始は停滞する輸出の押し上げにつながり、タイの経済発展にも資するはずだ」と期待感を示した。
トヨタは1997年のアジア通貨危機を契機に、タイ工場の稼働率維持を狙って1トンピックアップの生産を日本から順次移管。共通のプラットホーム(車台)を活用するIMVへの切り替えを機に、タイからの輸出を04年に始めた。IMVのタイ国内の生産は当初の年産18万台から現状では同60万台まで拡大。同国からの累計輸出台数は240万台に達した。
IMVはミニバンモデルなどを含め世界190の国・地域で販売している。ただ競争激化などで14年の販売台数は好調だった12年に比べ約1割減の約97万台だった。全面刷新で全世界での販売てこ入れを図る。