【ニューヨーク=稲井創一】英BPは2日、2010年4月にメキシコ湾で起こした原油流出事故を巡り、米連邦政府やメキシコ湾岸の5つの州と総額で最大187億ドル(約2兆3000億円)を18年間にわたって支払うことで和解した。米国で過去最大級の原油事故は決着に向け大きく前進した。
BPが和解したのは、米連邦政府のほか、アラバマ州、フロリダ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州。400を超える地方自治体とも同時に和解した。
連邦政府と州政府にはBPの米子会社を経由して支払う。支払いは和解合意の最終決定から12カ月後に始まる予定で、年平均で約11億ドルずつ払うという。
BPのボブ・ダドリー最高経営責任者(CEO)は2日の和解合意を受けて「すべての関係者に明瞭かつ確実で現実的な成果をもたらすものだ。BPにとって悲劇的な事故による最大の重荷を解決に導くことになる」との声明を発表した。
BPは事故の処理を巡り資産売却などを迫られた。これまでも訴訟関連費用で131億ドル、被害地域の清掃関連費用で140億ドル以上を投じてきた。
強固だった財務は傷み、原油生産量は事故前に比べて半分以下まで落ち込んだ。事故はBPの経営基盤を大きく揺るがした。
今回の和解を受け、2日の米株式市場でBP株は午前11時半現在、4%超と急伸している。
米政府がこのタイミングで決着にこぎ着けたのは、オバマ米大統領の任期が迫っていることが大きいようだ。
事故から5年を区切りとして、看板政策の一つだった環境政策で懸案となっていたBPの原油流出事故の決着を急ぎたかったとみられる。